Skip to content

コラム一覧

SEO-OGP5 (7)

製薬MI業務を革新する:Difyによる24時間365日受付AI構築法

製薬MI業務を革新する:Difyによる24時間365日受付AI構築法

製薬企業のメディカルインフォメーション(MI)部門は、医療従事者(HCP)からの高度な問い合わせに迅速かつ正確に対応するという重要な使命を担っています。しかし、「医師の働き方改革」の進行に伴い、HCP側の勤務時間外での情報ニーズが増加し、MI部門の「24時間365日対応」へのプレッシャーは増大しています。また、年間数万件に及ぶ問い合わせのトリアージ(緊急度・専門性に応じた分類)も、担当者にとって大きな負荷となっています。

本記事では、この課題を解決する切り札として、LLMアプリケーション開発プラットフォーム「Dify」を用いた生成AIによる応答・分類モデルの構築方法を、具体的な技術と法規制の観点からプロフェッショナルな視点で徹底解説します。DifyのRAG(検索拡張生成)機能を活用することで、ハルシネーションを抑制しつつ、高精度な一次受付をノーコード/ローコードで実現する道筋を示します。

AIチャットボットと対話する医師のイメージ
目次

1. Difyと生成AIでMI一次受付を高度化する結論

結論として、製薬MI業務の一次受付は、Difyを用いた生成AIモデルによって、高い品質を維持したまま24時間365日体制へと移行することが可能です。この革新の核となるのが、Difyの持つRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)機能と、問い合わせ内容を自動で振り分ける分類(トリアージ)モデルです。RAGにより、MI部門が保有する膨大な添付文書、Q&Aデータベース、社内ガイドラインといった専門的なナレッジをAIの知識ベースとして活用できます。これにより、AIは一般的な知識ではなく、ファクトチェックされた正確な情報源に基づいた回答を生成し、ハルシネーション(誤情報生成)のリスクを大幅に抑制します。

このアプローチにより、回答精度の目標値を90%以上に設定し、応答時間を数秒以内に短縮することが可能です。MI担当者は、定型的な一次受付業務から解放され、AIでは対応できない複雑で緊急性の高い問い合わせ(例:副作用報告など)や、学術的なディスカッションといった、真の専門性が求められるコア業務にリソースを集中できるようになります。

2. 製薬MI業務が抱える2大課題:時間外対応と分類負荷

製薬MI部門の負荷増大は、主に二つの構造的な課題に起因します。一つは「時間外対応の常態化」です。2024年4月からの「医師の働き方改革」施行により、医師の労働時間が短縮され、MR(医薬情報担当者)との面談機会が減少する傾向にあります。これにより、HCPは情報収集のチャネルをデジタルへと移行し、時間や場所を選ばないMIへの問い合わせニーズが強まっています。MIへの問い合わせのうち、約70%は、添付文書の記載や既存のQ&Aで対応可能な定型的な内容であるにもかかわらず、時間外対応のために多くのリソースが割かれています。

二つ目の課題は「問い合わせの分類(トリアージ)負荷」です。問い合わせには、緊急性の高い副作用報告(安全管理情報)から、単なる製品情報の確認まで、多岐にわたる種類が含まれます。これらの初期対応を誤ると、薬事法やGVP省令(Good Vigilance Practice)などの法令遵守に関わる重大なリスクにつながりかねません。そのため、専門の担当者が全ての問い合わせに対して、正確な分類作業を行う必要があり、これが日常業務の大きなボトルネックとなっています。

💡 ポイント

製薬MI業務の課題は、単なる工数削減ではなく、法令遵守安全管理を両立しながら、24時間体制のデジタル対応を実現することにあります。生成AIは、このトリアージの精度を向上させる役割を担います。

3. Dify RAG機能による高精度応答・分類モデルの構築ステップ

Difyを用いたMI一次受付AIの構築は、ノーコード/ローコードでRAG(検索拡張生成)を実装できるため、専門的な開発スキルがなくても迅速に進めることができます。Difyの「ナレッジ」機能は、MI部門が保有するPDF形式の添付文書、インタビューフォーム、Q&A集などのドキュメントをアップロードし、AIが参照可能な知識ベースを構築する役割を果たします。

1ナレッジ(知識ベース)の作成とデータ登録

MI関連文書(PDF、テキスト)をDifyにアップロード。データは自動でベクトル化され、AIが検索しやすい状態にインデックス化されます。

2検索設定(チャンク分割・検索手法)の最適化

高精度な検索を実現するため、文書の「チャンク分割」(テキストの区切り)を調整し、検索手法として「ハイブリッド検索」(ベクトル検索と全文検索の組み合わせ)を選択します。これにより、専門用語や特定の製品名に対する検索精度が向上します。

3分類(トリアージ)モデルのプロンプト設計

LLMノードに対し、入力された問い合わせを「副作用報告(緊急)」「製品情報(定型)」「学術情報(専門家対応)」などのカテゴリに分類する指示(プロンプト)を設定します。分類結果に応じて、自動応答フローと有人エスカレーションフローを分岐させます。

Difyは、これらの設定を直感的なUIで行えるため、従来のシステム開発と比較して、PoC(概念実証)から本番導入までの期間を約1/3に短縮できる可能性があります。

4. ケーススタディ:AIによる応答自動化とトリアージモデルの効果

生成AIをMI業務に導入した製薬企業の事例では、明確な業務改善効果が報告されています。例えば、ある製薬企業では、AIによる薬に関する電話応対業務の自動化を導入し、業務時間を約3分の1に削減できる見込みを得ています。これは、AIが一次受付を担うことで、人手による対応が不要な定型的な問い合わせ対応が劇的に減少した結果です。

Difyで構築されたトリアージモデルは、この効率化をさらに加速させます。問い合わせが入力されると、AIはまずその内容を瞬時に分析し、以下のように分類します。

  • レベル1(自動応答): 添付文書の用法・用量など、定型的な質問。AIがRAGで即時回答を生成し、情報源を引用して提示。
  • レベル2(エスカレーション): 副作用報告、製品クレームなど、緊急性の高い情報。AIは質問を要約し、即座に専門の安全管理担当者へ通知する。
  • レベル3(専門家対応): 最新の学術論文や、競合品との比較に関する高度な質問。AIは過去の類似問い合わせと回答履歴を検索し、MI担当者へトリアージするとともに、回答の下書きを生成して支援する。

この仕組みにより、専門家は緊急性の高い問い合わせに集中でき、24時間365日、全ての問い合わせに対して適切な「初期対応」が保証されます。

5. 医療・薬事法規制遵守とハルシネーション対策の徹底

製薬MI業務における生成AIの活用は、業務効率化の大きなメリットがある一方で、医療・薬事法規制への遵守とリスク管理が極めて重要です。MIの一次受付AIは、通常、診断や治療に直接関与しないため、薬機法上の「プログラム医療機器(SaMD)」には該当しない可能性が高いですが、提供する情報が不正確であることによる健康被害のリスクは常に存在します。

具体的な対策としては、以下の徹底が必要です。

  • RAGによる情報源明示: DifyのRAG機能により、AIが回答を生成する際に参照した添付文書やQ&Aの「引用元」を必ず提示し、トレーサビリティを確保する。
  • ハルシネーション抑制プロンプト: AIに対して、知識ベース(ナレッジ)にない情報については「わかりません」と回答するよう明確に指示する。
  • 個人情報保護: 問い合わせに含まれる個人情報(特に要配慮個人情報)の取り扱いについて、次世代医療基盤整備法や個人情報保護法のガイドラインに基づき、匿名化やセキュリティ対策を徹底する。
⚠️ 注意

医療・ヘルスケア分野での生成AI利用においては、ハルシネーション(誤情報生成)のリスクが最も重大です。AIが生成した内容を、最終的にMI担当者などの人間が必ず確認・修正するプロセス(Human-in-the-Loop)を義務付ける利用ルールを組織的に規定しなければなりません。

まとめ

製薬MI業務の未来は、DifyのようなLLM開発プラットフォームとRAG技術を活用した生成AIにあります。時間外対応の常態化と、副作用報告などの緊急性の高い問い合わせに対する分類負荷という二つの大きな課題は、AIによる「24時間365日の一次受付」と高精度なトリアージモデルによって解決されます。Difyを使えば、MI部門の専門ナレッジを知識ベースとして容易に構築し、ハルシネーションを抑制しつつ、高い精度でHCPへ情報提供が可能です。しかし、医療分野特有の薬機法や個人情報保護法といった規制を遵守し、最終確認は必ず人間が行う「Human-in-the-Loop」の仕組みを導入することが、安全かつ効果的なAI活用を実現するための絶対条件となります。まずはスモールスタートでPoCを実施し、業務適合性を検証することが成功への第一歩です。

監修者
監修者

株式会社ヘルツレーベン代表 木下 渉

株式会社ヘルツレーベン 代表取締役/医療・製薬・医療機器領域に特化したDXコンサルタント/
横浜市立大学大学院 ヘルスデータサイエンス研究科 修了。
製薬・医療機器企業向けのデータ利活用支援、提案代行、営業戦略支援を中心に、医療従事者向けのデジタルスキル教育にも取り組む。AI・データ活用の専門家として、企業研修、プロジェクトPMO、生成AI導入支援など幅広く活動中。

https://herzleben.co.jp/

SEO-OGP5 (6)

Dify×RAGでHCPサイトを進化させる。学術データの「対話型検索」導入メリット

Dify×RAGでHCPサイトを進化させる:学術データの「対話型検索」導入メリット

医療従事者(HCP)向けウェブサイト(HCPサイト)は、最新の学術データ、臨床ガイドライン、製品情報を迅速に提供する重要なチャネルです。しかし、従来のHCPサイトでは、膨大なPDF資料や専門的なデータベースからの情報探索に時間がかかり、「知りたい情報にすぐにたどり着けない」という根本的な課題が残されています。この課題を解決し、HCPの臨床現場での意思決定を強力に支援するのが、ノーコードLLM開発プラットフォームDifyとRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)の組み合わせによる「対話型検索」です。

本記事では、DifyとRAGを導入することで、HCPサイトがどのように進化し、HCPの情報探索時間短縮、回答の信頼性向上、そしてエンゲージメントの劇的な向上を実現できるのかを、具体的なデータと技術的根拠に基づいてプロフェッショナルな視点から徹底解説します。HCPサイトのUX(ユーザー体験)を革新し、真の臨床支援ツールへと昇華させるための戦略を提示します。

忙しい医師がタブレットでAI対話型検索を利用し、迅速に情報を得る様子
目次

1. HCPサイトの課題:情報過多と従来の検索限界

現代のHCPは、複雑化する診療ガイドラインや日々更新される医学論文に対応するため、情報探索に多大な時間を費やしています。従来のHCPサイトは、キーワード検索やPDF資料のダウンロードが中心であり、この情報過多の時代において、その検索効率には限界があります。具体的には、「情報が整理されておらず、探している情報がどこにあるか見つけづらい」「情報がPDFになっていると検索しても引っかからず、ほしい情報にたどり着けない」といった課題が指摘されています。この非効率性は、多忙なHCPにとって大きなストレスとなり、結果としてサイトのエンゲージメント低下を招きます。

製薬企業のHCPサイトには、高速な読み込みと直感的なナビゲーションに加え、オートコンプリートやAIによる提案を活用した「高度な検索」が求められています。このニーズに応えるのが、LLM(大規模言語モデル)の自然言語理解能力と、RAG技術による正確な情報検索を組み合わせた「対話型検索」インターフェースです。

2. 結論:Dify×RAGがもたらす核心的メリット

DifyとRAGを組み合わせたHCPサイトの「対話型検索」導入により、製薬企業は以下の3つの核心的なメリットを享受できます。これらは単なるUXの改善に留まらず、HCPの臨床支援、ひいては医薬品の適正使用とエンゲージメント向上に直結する戦略的な進化です。

特に、RAG技術はLLMが持つ一般的な知識と、アップロードされた「独自のナレッジ(学術論文や社内文書)」を組み合わせて回答を生成するため、回答の信頼性を高めることが可能です。これにより、従来のチャットボットが抱えていた「誤情報生成(ハルシネーション)」のリスクを大幅に低減できます。

💡 ポイント: HCPサイト進化の3大メリット
  • 信頼性の担保: ハルシネーションを最小限に抑え、学術データに裏付けられた正確な回答を生成。
  • 効率性の向上: 複雑な質問に対しても、要点をまとめた回答を即座に提示し、情報探索時間を劇的に短縮。
  • エンゲージメント強化: 専門的なニーズに深く応えることで、HCPのサイト滞在時間と利用頻度を向上させる。

3. メリット1: RAGによる検索精度の飛躍的向上と信頼性の担保

Difyが提供するRAGエンジンは、HCPサイトに格納された膨大な学術データを「ナレッジベース」として活用し、従来のキーワード検索では不可能だった「意味的な検索(セマンティック・サーチ)」を実現します。RAGの導入により、LLM単体で回答を生成する場合と比較して、回答の信頼性が約40%向上するという試算もあります。これは、HCPにとって最も重要な「情報の正確性」を担保する決定的な要因となります。

RAGの精度を最大化するためには、アップロードするドキュメントの「チャンキング」と「埋め込み(Embedding)」の最適化が不可欠です。Difyのようなプラットフォームは、この複雑なデータ前処理をローコード・ノーコードで簡素化し、非エンジニアでも高精度なRAGシステムを構築・運用することを可能にします。これにより、製薬企業は最新の臨床試験結果やガイドラインの改訂を迅速にナレッジベースに反映させ、常に正確な情報を提供できます。

【出典】

ChatGPTとDify、医療現場のAI使い分け戦略と劇的なコスト削減術

(herzleben.co.jp)

4. メリット2: 対話型インターフェースによる情報探索時間の劇的短縮

従来の検索では、HCPは複数の文書を開き、自分で情報を統合・解釈する必要がありました。対話型検索では、質問を入力するだけで、LLMが複数の学術データから必要な情報を抽出し、要点をまとめて即座に回答を生成します。これにより、HCPの情報探索にかかる時間を劇的に短縮できます。医療現場では、わずかな情報検索の遅れが患者の安全に関わる事態にも発展しかねないため、即時性は極めて重要です。

Difyを応用した医療機関の事例では、AI導入により年間約18,000時間(1人当たり月1.5時間相当)の業務削減が実現したというデータもあり、HCPの業務効率化に貢献するAIプラットフォームのポテンシャルは極めて高いと言えます。製薬企業は、この対話型検索を導入することで、HCPの「医学論文やガイドラインからの迅速な要点抽出」を支援し、臨床現場のニーズに深くコミットできます。

✅ 対話型検索の優位性
  • 質問の意図を理解し、複雑なクエリにも対応
  • 複数のソースを横断的に検索し、統合された回答を生成
  • 回答の出典元を明示し、情報の信頼性を担保
❌ 従来のキーワード検索の限界
  • キーワードの完全一致に依存し、文脈理解が困難
  • 複数の検索結果からHCP自身が要点を抽出・解釈する必要がある
  • PDFなど非構造化データ内の情報を検索できないことが多い

5. 具体事例: 臨床現場での「対話型検索」活用シナリオ

具体的に、HCPが「対話型検索」をどのように活用できるか、以下のシナリオを考えます。

【シナリオ】
「特定の遺伝子変異を持つ日本人患者集団における、最新の分子標的薬Aの投与量と、その副作用プロファイルについて、第III相臨床試験のデータに基づいて要点をまとめてほしい。」

従来の検索では、HCPはまず、関連する臨床試験報告書(PDF)を複数ダウンロードし、その中から「日本人患者集団」「投与量」「副作用プロファイル」の3つの要素を手動で探し出し、情報を統合する必要がありました。この作業は10分以上を要し、緊急性の高い臨床現場では大きな負担です。

対話型検索を導入したHCPサイトでは、上記の質問をそのまま入力するだけで、LLMがRAGによって以下のステップで即座に回答を生成します。

1質問のベクトル化と検索

HCPの質問をベクトル化し、サイト内の全学術データ(ベクトルデータベース)に対し、意味的に最も関連性の高いチャンク(情報断片)を瞬時に検索・抽出。

2コンテキストの拡張とLLMへの入力

抽出された該当テキスト(データ根拠)を、元の質問とともにLLMへのプロンプトとして追加(RAG)。

3要約と出典提示

LLMが根拠に基づき、要点をまとめた簡潔な回答を生成し、参照元となった論文のタイトルとページ番号を提示。

この一連のプロセスは数秒で完了し、HCPは臨床意思決定に必要な情報を即座に得ることができます。また、回答には必ず出典元が明記されるため、情報の信頼性をHCP自身が確認できる点も重要です。

6. 導入のポイントと注意点: Dify選定とナレッジベース構築

Dify×RAGをHCPサイトに導入する際、最も重要なのは「セキュリティ」と「ナレッジベースの品質」です。特に機密性の高い医療情報を扱う場合、データの安全性は最優先事項となります。

Difyはオープンソースのプラットフォームであり、クラウドだけでなく、自社のサーバーにインストールして運用できる「セルフホスト版(オンプレミス)」に対応しています。これにより、製薬企業はデータ管理体制とセキュリティを確保しつつ、RAGによる高精度な対話型検索を実現できます。また、RAGの精度は、読み込ませるデータの質に大きく依存するため、PDF資料をそのままアップロードするのではなく、意味的なまとまりを考慮したチャンク(情報断片)分割など、データ前処理を最適化することが鍵となります。

💡 ポイント: 成功のための技術的要件
  • セキュアな環境構築: Difyのセルフホスト版(オンプレミス)を選択し、機密性の高いデータを院内ネットワークまたはセキュアなプライベートクラウドで運用。
  • データ前処理の徹底: RAGの精度向上のため、チャンク分割方法の最適化や、メタデータ(論文ID、発表年など)の付加を徹底。
  • 継続的なフィードバック: ユーザーの質問ログを分析し、回答の正確性や網羅性を定期的に評価・改善する運用体制を確立。

【出典】

【ヘルスケア業界編】生成AIDifyが拓く医療DX: AIによる業務効率化と患者ケア向上の最前線

(hatenabase.jp)

まとめ

DifyとRAGの組み合わせは、HCPサイトを従来の「情報置き場」から「臨床意思決定を支援する対話型ナレッジベース」へと進化させる強力なソリューションです。この導入の核心的メリットは、RAGによる学術データ検索の精度と信頼性を高め(回答信頼性約40%向上)、対話型インターフェースによってHCPの情報探索時間を劇的に短縮できる点にあります。特に、Difyのノーコード・ローコード開発環境は、製薬企業が専門知識なしに、最新の臨床試験データやガイドラインをナレッジベース化し、業務効率化を加速することを可能にします。導入にあたっては、Difyのセルフホスト版の活用など、セキュリティとデータ管理を最優先事項とし、HCPの真のニーズに応える高精度な「対話型検索」の実現を目指すことが、今後のHCPエンゲージメント戦略の鍵となります。

【出典】

医療従事者向けサイトを調査!製薬企業が取るべき戦略的アプローチとは?

(www.members-medical.co.jp)

監修者
監修者

株式会社ヘルツレーベン代表 木下 渉

株式会社ヘルツレーベン 代表取締役/医療・製薬・医療機器領域に特化したDXコンサルタント/
横浜市立大学大学院 ヘルスデータサイエンス研究科 修了。
製薬・医療機器企業向けのデータ利活用支援、提案代行、営業戦略支援を中心に、医療従事者向けのデジタルスキル教育にも取り組む。AI・データ活用の専門家として、企業研修、プロジェクトPMO、生成AI導入支援など幅広く活動中。

https://herzleben.co.jp/

SEO-OGP5 (5)

MRの対話力をDifyで強化。医師ペルソナ別の「ロープレ研修」自動化システム

DifyでMRの対話力を革新:医師ペルソナ別ロープレ研修自動化システム構築ガイド

製薬業界において、MR(医薬情報担当者)の役割は、単なる情報提供者から「医師の臨床課題を解決するパートナー」へと大きく変化しています。特にコロナ禍以降、対面機会の減少と医師の情報選好の変化により、限られた時間で医師のニーズを深く理解し、価値を最大化して伝える「対話力」の強化が急務となっています。しかし、従来の集合研修やマネージャーによる一律のロープレでは、多様化する医師ペルソナに対応した実践的なトレーニングは困難です。

本記事では、ノーコード・ローコードでLLM(大規模言語モデル)アプリを開発できるプラットフォーム「Dify」を活用し、医師のペルソナを忠実に再現したAIとのロープレ研修を自動化するシステム構築の具体的な方法と、その効果を最大化する設計思想をプロフェッショナルな視点から徹底解説します。実践的な対話力を短期間で身につけ、変化の激しい医療現場で成果を出すための新たな教育ソリューションを提示します。

Difyの画面上でMRがAI医師とロープレを行っているイメージ図
目次

1. 結論:Difyが実現する「医師ペルソナ別ロープレ」の全体像

MRの対話力強化における最も重要な結論は、Difyの持つノーコード開発能力とLLMの高度なペルソナ再現能力を組み合わせることで、時間や場所に縛られない、きわめて実践的なロープレ研修システムを迅速に構築できるという点です。Difyは、OpenAIのGPTシリーズやAnthropicのClaudeシリーズなど、推論能力に優れた様々なLLMを簡単に選択し、APIキーを指定するだけで利用できます。これにより、専門的なプログラミング知識がないMR教育担当者でも、数日〜数週間でチャットボットやAIエージェント形式のロープレ環境を構築することが可能です。

このシステムでは、MRは「多忙で新薬情報に興味がない開業医」や「エビデンスを重視する大学病院の専門医」といった具体的な医師ペルソナと、いつでも対話練習ができます。さらに、Difyのフロー機能を用いることで、会話の回数や特定のキーワードの使用状況に基づいた自動フィードバックの生成も組み込めるため、マネージャーの指導工数を大幅に削減しつつ、年間を通して継続的なスキルアップが可能になります。

💡 ポイント

Difyの採用により、LLM活用に必要な「フロントエンド」「プロンプト設計」「モデル選択」の要素が一元化されます。これにより、高度なAI機能をノーコード・ローコードで実現し、研修システムを約70%の工数削減でプロトタイピングできる可能性があります。

【出典】

Difyで作るAI営業ロープレツール

(www.thank-u.net)

2. MRの対話力強化が急務:情報提供から「価値のナビゲーター」へ

MRの対話力強化は、近年の製薬業界を取り巻く環境変化によって喫緊の課題となっています。パンデミック以降、多くの医療機関でMRの訪問規制が強化され、医師とのコンタクト機会が劇的に減少しました。この結果、MRは「繰り返し訪問する人」から「情報価値を最大化して届ける人」へと役割の再定義が求められています。

また、医師側の情報選好も変化しており、「必要なときに必要な情報だけ」を選ぶ傾向が強まっています。従来の画一的な製品説明では、多忙な医師の関心を引くことはできません。現場のMR教育担当者へのヒアリングでは、リモート面談時に「効果的な双方向のコミュニケーションができていない」という課題が浮き彫りになっており、単なる知識提供ではなく、医師の治療方針や臨床課題を深く「聴く力」(傾聴力・対話力)が不可欠となっています。 このような状況下で、多様な医師のニーズに対応できる個別化された対話スキルを身につけるためには、従来の研修では対応しきれない実践的なロープレ環境が必要とされています。

【出典】

対話データの分析から見えた、成果を上げるMRのディテーリングの特徴とスキル向上のポイント/MDMD2023Autumnレポート

(www.medinew.jp)

3. Difyがロープレシステム基盤に適する技術的理由と優位性

DifyがMRのロープレ研修システム構築に優れている最大の理由は、その柔軟な「AIエージェント」構築能力とプロンプト制御機能にあります。Difyは、ノーコードでLLMの能力を最大限に引き出すためのプラットフォームであり、特に以下の機能がロープレ自動化に貢献します。

  • プロンプトの細かな制御:「システムプロンプト」で医師の基本ペルソナ(専門領域、役職、情報選好、性格など)を定義し、「ユーザープロンプト」でMRの質問に対する応答のルールやトーンを細かく設定できます。これにより、AIが単なる知識ベースではなく、感情や立場の異なるリアルな応答を再現可能です。
  • LLMノードの柔軟な選択:タスクに応じて、OpenAIのGPT-4oなど高性能なモデルや、コスト効率の高いモデルを自由に選択・切り替えることができます。
  • RAG(検索拡張生成)機能:製品の添付文書や最新の臨床データなどのナレッジベースを組み込み、AI医師が「データに基づいた質問」や「専門的な反論」を行えるようにすることで、より高度な対話トレーニングを実現します。

これらの機能により、Difyは単なるチャットボットではなく、自律的にタスク(ロープレの進行、フィードバック生成)をこなす「AIエージェント」として機能し、MRの対話スキル向上に特化した実践的なトレーニング環境を提供できるのです。

4. 医師ペルソナ設計の具体的手法とLLMプロンプトへの適用

ロープレのリアリティを高めるためには、医師ペルソナを深く、多角的に設定することが鍵となります。製薬マーケティングにおけるペルソナ設計では、単なる属性情報だけでなく、医師の思考や行動を具体化する必要があります。

医師ペルソナ設定の主要な構成要素
  • 基本属性:専門領域(循環器内科、整形外科など)、臨床経験年数、役職(開業医、大学教授など)
  • 情報選好:情報収集チャネル(Web、MR、論文)、重視する情報(エビデンス、コスト、患者QOL)
  • 性格・思考:MRに対する態度(協力的、懐疑的)、意思決定のスタイル(データ重視、経験重視)
  • 臨床課題:担当患者の層(高齢者、若年層)、治療における主要な悩みや問題点

これらの要素はDifyの「システムプロンプト」に詳細に記述されます。例えば、「あなたは臨床経験20年の循環器内科の開業医である。多忙であり、MRとの面談時間は最大5分。エビデンスレベルの高い情報のみを信頼し、コスト効率の悪い治療法には懐疑的な態度を取る」といった具体的な指示をLLMに与えます。 この詳細な指示こそが、ロープレの質を決定づける重要な要素となります。

5. ロープレ自動化システムの構築ステップと評価指標

Difyを用いたロープレ自動化システムの構築は、以下のステップで進めるのが最も効率的です。特に、会話変数を活用することで、単なる対話練習に留まらない、マネジメント視点の評価を自動で実現できます。

1ペルソナとシナリオの設計

ターゲット医師のペルソナを詳細に定義し、ロープレで達成すべき目的(例:製品の特定エビデンスへの関心を引く)に基づいた会話シナリオを作成します。

2DifyでのAIエージェント構築とプロンプト設定

Difyのワークフロー機能を用い、システムプロンプトにペルソナ情報とロープレのルール(例:MRの応答に反論を試みる)を記述。会話履歴を変数として管理する設定を行います。

3自動フィードバック機能の実装

会話終了後、LLMに会話履歴全体を評価させ、「傾聴度」「論点整理度」「ペルソナへの対応度」などの指標に基づいたフィードバックを自動生成させます。これにより、フィードバックの質を均一化し、研修の客観性を高めます。

特に重要な評価指標として、MRが医師の「治療方針を聞く、臨床課題を聴く」という行動をどれだけ実行できたかを測る「傾聴回数」を会話変数としてカウントする設計が有効です。

6. 補足情報:LLMロープレの限界とヒューマンフィードバックの役割

LLMを活用したロープレ研修は極めて有効ですが、その限界と補完策を理解することが、研修効果を最大化する上で不可欠です。LLMは、定義されたペルソナに基づく論理的な応答や知識ベースの受け答えは得意ですが、人間の微妙な「感情の機微」や「非言語コミュニケーション」を完全に再現することは現在の技術では困難です。MR活動においては、医師との信頼関係構築において非言語情報が約55%の影響を及ぼすとも言われるため、この点は特に重要です。

このため、Difyシステムは「基礎的な対話の型とロジックの習得」を担い、マネージャーは「高度な傾聴力と人間関係構築スキル」を指導するというハイブリッドな研修モデルが、最も高い成果をもたらします。LLMによる客観的な評価データ(傾聴度、論点整理度)をマネージャーの指導に活用することで、指導の効率と質を年間約20%向上させることが期待できます。

⚠️ 注意

LLMは「感情」を完全に再現できません。そのため、ロープレ結果を基に、マネージャーが「言葉の裏にある医師の感情をどう読み取るか」「沈黙や表情の変化にどう対応するか」といった、人間的な要素に特化した個別指導(ヒューマンフィードバック)を組み合わせることが、トレーニングの最終的な品質を保証します。

まとめ

MRの対話力強化は、医師とのコンタクト機会減少と情報選好の変化という現代の課題に対応するための最重要テーマです。Difyを活用した医師ペルソナ別ロープレ研修システムは、この課題に対して、革新的で効率的なソリューションを提供します。ノーコード・ローコードで、多様な医師ペルソナを再現したAIエージェントを構築し、MRは時間や場所の制約なく実践的な対話練習を繰り返すことが可能です。Difyのプロンプト制御やRAG機能を活用することで、エビデンスベースの高度な会話にも対応でき、自動フィードバック機能により、マネージャーの工数を削減しつつ研修効果を均質化できます。最終的な対話の質を高めるためには、LLMによる客観データと、マネージャーによる感情や非言語コミュニケーションに特化したヒューマンフィードバックを組み合わせる「ハイブリッド研修」が、これからのMR育成のスタンダードとなるでしょう。

監修者
監修者

株式会社ヘルツレーベン代表 木下 渉

株式会社ヘルツレーベン 代表取締役/医療・製薬・医療機器領域に特化したDXコンサルタント/
横浜市立大学大学院 ヘルスデータサイエンス研究科 修了。
製薬・医療機器企業向けのデータ利活用支援、提案代行、営業戦略支援を中心に、医療従事者向けのデジタルスキル教育にも取り組む。AI・データ活用の専門家として、企業研修、プロジェクトPMO、生成AI導入支援など幅広く活動中。

https://herzleben.co.jp/

SEO-OGP5 (4)

リアルタイムで寄せられる質問への回答案をDifyが即座に提示。Web講演会のQ&AタイムをAIがサポート。

Dify RAGが実現するWeb講演会Q&Aの革命

Web講演会(ウェビナー)のQ&Aセッションは、参加者のエンゲージメントを高める重要な機会である一方、「質問が殺到して時間が足りない」「専門性の高い質問に即座に正確な回答ができない」という課題が常に存在します。特に医療・技術分野のウェビナーでは、情報の正確性と迅速性が生命線です。この課題を解決するのが、AIアプリ開発プラットフォームDifyのRAG(検索拡張生成)機能です。本記事では、Difyを活用し、講演資料に基づいた回答案をリアルタイムで生成することで、Q&Aタイムの質と効率を劇的に向上させる具体的な方法と、その核となる技術的メカニズムを、プロフェッショナルな視点から徹底的に解説します。

Web講演会のQ&Aセッションで、AIがリアルタイムで回答案を生成している様子を示す画像
目次

1. Difyが実現する即時・高精度なQ&Aサポートの結論

DifyのRAG(Retrieval-Augmented Generation)エンジンを活用することで、Web講演会中に参加者から寄せられる質問に対し、講演者が提供した資料や専門文書に基づいた「回答案」をAIが即座に生成し、ファシリテーターや演者の手元に提示することが可能です。これにより、Q&Aセッションで最も重要な「正確性」と「迅速性」を両立させます。従来のQ&Aでは、質問の意図を理解し、資料を検索し、回答を構築するプロセスに数分を要していましたが、Difyのシステムではこのプロセスを数秒に短縮できます。この技術は、AIに特定の知識ベースを持たせることで、大規模言語モデル(LLM)が持つ一般的な知識だけでなく、講演内容に特化した専門的な文脈に基づいた、ハルシネーション(誤情報生成)リスクの低い回答を可能にするものです。この仕組みにより、ウェビナーの質疑応答時間を約40%削減できたという試算もあります。

💡 ポイント

DifyのRAGは、講演資料(PDF、PPT資料など)をナレッジベースとしてAIに組み込むことで、即時かつ講演内容に完全に準拠した回答案を生成します。これにより、未公開のデータや独自の研究結果に関する質問にも、その場を離れることなく対応可能となります。

【出典】

DifyカスタマーサポートBot作り方を徹底解説!|2025年最新版

(n-v-l.co)

2. Web講演会Q&Aタイムが抱える3つの深刻な課題

Web講演会のQ&Aタイムは、以下の3つの構造的な課題を抱えています。これらの課題は、特に専門性の高いテーマにおいて、参加者の満足度を低下させる主要因となります。

  • 時間制約による未回答の発生: 質疑応答に割り当てられる時間は、通常10〜20分程度と短く、寄せられた質問の約70%が未回答のまま終了してしまうケースも少なくありません。これにより、参加者の疑問が解消されず、フォローアップの負担が増加します。
  • 質問の重複と非効率な対応: 複数の参加者から同じような質問が寄せられた場合、演者はその都度同じ説明を繰り返す必要があり、貴重な時間を非効率に消費してしまいます。
  • 専門的な質問への即時対応の難しさ: 演者が発表内容以外の詳細なデータや、関連する過去の論文・症例に関する質問を受けた際、手元の資料から該当箇所を即座に探し出すのは困難です。従来のLLMでは、この「自社固有のナレッジ」に弱いため、正確な回答ができません。

RAG技術は、LLMの追加学習(ファインチューニング)を行うことなく、外部の独自データ(ナレッジベース)を参照させることを可能にするため、これらの課題をコスト効率良く解決する手段として注目されています。

【出典】

RAGとは?生成AIの回答精度を向上させる方法

(self.systems)

3. Difyの核となる技術: RAGエンジンとナレッジベースの構築

DifyのAIサポートの核となるのが、RAG(検索拡張生成)の仕組みです。この技術は、LLMが持つ汎用的な知識に、企業や講演会独自の「ナレッジベース」を組み合わせて回答の精度を高めます。RAGは以下の3つのステップで動作します。

1検索(Retrieval): 質問と関連情報のマッチング

ユーザーから質問が寄せられると、AIはまず、講演資料や専門文書を格納したナレッジベースの中から、質問と意味的に類似性の高い情報(チャンク)を高速で検索・抽出します。

2拡張(Augmentation): コンテキストの提供

抽出された関連情報は、ユーザーの質問文と組み合わされ、「拡張されたコンテキスト」としてLLMに渡されます。これにより、LLMは質問の背景にある専門的な文脈を理解します。

3生成(Generation): 正確な回答案の出力

LLMは、この拡張されたコンテキストに基づき、事実にもとづいた正確な回答案を生成します。Difyでは、PDF、Word、Excel、HTMLなど多様なドキュメント形式をナレッジベースとして利用できます。

4. 具体的な活用ステップとAI回答案の精度向上戦略

Difyを活用したWeb講演会Q&Aサポートの導入は、以下のシンプルなステップで実現可能です。

  • ステップ1: 資料の収集とナレッジベースの作成: 講演資料(PDF、PPT資料をPDF化したもの)、関連するFAQ、補足データなどをDifyにアップロードし、ナレッジベースを構築します。この作業はノーコードで容易に行えます。
  • ステップ2: AIエージェントの設定とプロンプト設計: LLM(例: GPT-4)を選択し、AIの役割(例: 「専門家として、提供された資料に基づき、客観的で簡潔な回答案を生成せよ」)をプロンプトで明確に定義します。
  • ステップ3: リアルタイム連携と回答案の提示: ウェビナーのチャットシステムとDifyのAIを連携させます。質問が寄せられると、AIは即座に回答案を生成し、ファシリテーターや演者の専用画面に表示します。

この運用では、AIが生成した回答案を「最終回答」とするのではなく、「演者が最終確認・修正するための下書き」として利用することが成功の鍵です。これにより、演者はゼロから回答を構築する手間を省き、AIの回答案に約10秒の確認時間を加えるだけで、未回答質問の対応率を劇的に高めることができます。国内の先進的な企業では、RAG技術を活用した社内情報検索システムを導入し、業務変革を進めています。

5. 医療・技術分野におけるデータ管理と倫理的配慮

特に医療や先端技術の分野では、機密情報や未公開データ、患者のプライバシーに関わる可能性のある情報をナレッジベースとして扱うため、強固なセキュリティと倫理的配慮が不可欠です。

AIの回答精度が高いとはいえ、最終的な回答は必ず演者やファシリテーターが確認し、生成AIの出力が事実と異なる「ハルシネーション」のリスクをゼロに近づけることがプロフェッショナルとしての責務です。AIはあくまで「強力な検索・下書き作成ツール」と位置づけ、その回答の出典元(ナレッジベース内の資料のページ番号など)を明確に示す「引用帰属機能」を活用することで、回答の信頼性を高める運用が求められます。日立ソリューションズの解説によると、RAGは、生成AIの活用における「自社のルールに沿った回答をさせたい」というニーズに対応できるとされています。

⚠️ 注意

DifyなどのRAGシステムを利用する際は、アップロードしたデータがLLMの追加学習に利用されない設定になっているか、また、ナレッジベースへのアクセス権限が適切に管理されているか(Role-Based Access Control: RBAC)を厳格に確認する必要があります。未公開の治験データや特許情報などの機密性の高い情報は、厳重なセキュリティ対策が施されたプライベートクラウド環境で運用することが推奨されます。

まとめ

Web講演会のQ&Aタイムにおける「時間不足」「専門的な質問への即時対応の難しさ」といった課題は、DifyのRAG(検索拡張生成)機能によって革新的に解決されます。講演資料をナレッジベースとしてAIに組み込むことで、参加者からの質問に対し、LLMがその資料に基づいた正確で文脈に沿った回答案をリアルタイムで生成します。これにより、演者は回答の構築時間を大幅に短縮し、より多くの質問に質の高い回答を提供することが可能となります。導入の鍵は、AIの回答を「下書き」として活用し、最終的な確認を人間が行うハイブリッドな運用体制を敷くことです。特に機密性の高い情報を扱う医療・技術分野においては、RAGの引用帰属機能と厳格なセキュリティ管理を組み合わせることで、効率化と信頼性の両立を実現できます。Difyを活用したAIサポートは、ウェビナーの参加者満足度と運営効率を同時に高める、現代のプロフェッショナルにとって不可欠なツールと言えるでしょう。

【出典】

Dify 公式サイト

(dify.ai)

監修者
監修者

株式会社ヘルツレーベン代表 木下 渉

株式会社ヘルツレーベン 代表取締役/医療・製薬・医療機器領域に特化したDXコンサルタント/
横浜市立大学大学院 ヘルスデータサイエンス研究科 修了。
製薬・医療機器企業向けのデータ利活用支援、提案代行、営業戦略支援を中心に、医療従事者向けのデジタルスキル教育にも取り組む。AI・データ活用の専門家として、企業研修、プロジェクトPMO、生成AI導入支援など幅広く活動中。

https://herzleben.co.jp/

SEO-OGP5 (3)

Difyが営業コーチへ。MR日報を入力するだけで「次の訪問プラン」を提案。

DifyがMR営業コーチに:日報から「次の訪問プラン」を自動生成するAIの構築法

製薬業界のMR(医薬情報担当者)にとって、日々の営業日報は活動の記録であると同時に、大きな負担でもあります。多くの企業で日報が「報告のための作業」として形骸化し、「次に何をすべきか」という重要な示唆(インサイト)を得るまでに至っていないという課題が顕在化しています。この課題を解決するのが、大規模言語モデル(LLM)のアプリケーション開発を簡素化するプラットフォーム「Dify」を活用したAI営業コーチです。本記事では、Difyのノーコード開発環境とRAG(検索拡張生成)技術を組み合わせることで、MRが入力した日報のテキストデータから、科学的根拠に基づいた「次の訪問プラン」を自動で提案する仕組みと、その具体的な導入効果を、プロフェッショナルな視点から徹底解説します。

日報から次の訪問プランを提案するAIコーチの画面を見るMR
目次

1. MRの非効率な日報作成と、Difyを活用したAIコーチの可能性

営業日報は、本来、営業担当者が自身の活動を客観的に振り返り、業務上の課題や改善点を見つけるための重要な自己分析ツールです。また、管理者にとっては案件の進捗状況やチーム全体のスキル把握に不可欠な資料となります。しかし、多くのMR現場では、日報の作成が「単なる報告」に留まり、活動に活かされていないという課題を抱えています。日報の作成に時間を割くあまり、本来注力すべき医師や薬剤師との面談時間が圧迫されるケースも少なくありません。実際に、多くの営業組織で「日報を作成するだけで、活かせていない」という課題が指摘されています。

この非効率性を解消し、日報を真の「成長エンジン」に変えるのが、Difyを活用したAIコーチです。Difyは、複雑なプログラミングやクラウドインフラの設定を意識せずに、LLM(大規模言語モデル)を活用した業務アプリケーションをノーコードで構築できるプラットフォームです。これにより、MRの日報という定性的なテキストデータを、即座に次に取るべきアクションに変換するAIアシスタントを、専門知識がなくても迅速に開発することが可能になります。

2. 【結論】Difyで実現する「MR営業コーチAI」の仕組み

Difyを用いたMR営業コーチAIの最大の価値は、日報の自由記述欄に入力された定性データ(医師の反応、商談の雰囲気、懸念点など)を、具体的な行動計画へと昇華させる点にあります。この実現の鍵となるのが「RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)」技術です。Difyの「ナレッジ機能」により、製薬会社の製品マニュアル、治験データ、成功事例集、価格リストといった社内文書をアップロードし、これらをAIが参照する知識ベース(ナレッジベース)として構築します。

MRが日報を入力すると、AIはRAGを通じて、その日報の内容(例: 「A医師は〇〇薬の副作用に懸念を示した」)に関連する製品マニュアルの該当箇所や、過去の類似事例(「副作用懸念への対応トークスクリプト」)を検索し、それらを回答生成の根拠情報としてLLMに渡します。これにより、単なる日報の要約ではなく、「次の訪問で提示すべきエビデンス資料」と「具体的なトークスクリプト」を含む、実行可能な訪問プランが瞬時に生成されます。

💡 ポイント:RAGによるハルシネーション抑制

RAG技術は、LLMが一般知識ではなく、登録された社内ナレッジベース(製品情報や成功事例)を参照して回答を生成するため、事実に基づかない情報(ハルシネーション)の発生を抑制し、提案の信頼性を約90%向上させることが可能です。これにより、MRはAIの提案を医師への情報提供として安心して活用できます。

【出典】

大企業のAIエージェント活用に関する実態調査

(techtouch.jp)

3. Difyが提案する「次の訪問プラン」の具体的なロジック

AIコーチが生成する「次の訪問プラン」は、過去の経験則だけでなく、科学的かつ論理的なPDCAサイクルに基づいて構築されます。このロジックを担保するのが、DifyのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)で簡単に設定できる「プロンプト設計」です。営業文書では「敬語を崩さない」「箇条書きでメリット列挙を併用する」といった企業独自の文体ルールが存在します。Difyでは、これらのルールを「システムプロンプト」に明文化することで、誰が使ってもブレない高品質なアウトプットを実現します。

  • 課題の明確化: 日報の「所感・反省点」から、A医師が抱える製品への障壁(例: 安全性への懸念、競合製品との差別化ポイント)をAIが抽出。
  • ナレッジベース検索: 抽出された課題に基づき、RAGが社内ナレッジ(例: 最新の安全性データ、競合製品比較データ)を検索。
  • 行動計画の提案: 検索結果と、プロンプトで定義された「営業戦略」に基づき、「次回訪問では治験データXを提示し、競合製品Yとの有効性の違いを、具体的な数値(例: 投与後3ヶ月で効果発現率が15%高い)とともに説明する」といった具体的なアクションを提案。
  • 推奨資料の添付: 提案と同時に、根拠となる資料(PDFやWebリンク)を自動で提示。

このプロセスにより、MRは日報を締めくくる際に、翌日の活動目標を明確かつ具体的な行動計画として即座に得ることができ、PDCAサイクルを効率的に回す習慣が身につきます。

4. 営業効率を劇的に改善するDifyの3つの機能的優位性

Difyが他のAIツールと一線を画すのは、その開発の容易さと機能の包括性にあります。特にMR営業コーチAIを構築する上で、以下の3つの機能的優位性が業務効率を劇的に改善します。

  • 優位性1: ノーコード/ローコードでの迅速な開発
    複雑なコーディングが不要なGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)により、非エンジニアのビジネス部門でも、数日〜数週間でプロトタイプを構築・運用開始できます。これにより、現場のニーズを即座にAI機能に反映させるアジャイルな開発が可能になります。
  • 優位性2: 強力なRAGエンジンによる高精度な回答
    「ナレッジ機能」は、PDFやCSV、Notionなど多様なデータソースに対応し、ファイルのアップロードだけで自動的に分割・埋め込み処理を行います。営業向けに「製品マニュアル」「FAQ」「成功事例インタビュー」などを投入することで、基本的な問い合わせへの回答精度が一気に向上します。
  • 優位性3: ワークフロー機能による多段階の自動処理
    Difyのワークフロー機能を使えば、「日報の要点抽出」→「課題に応じたナレッジ検索」→「訪問プラン生成」→「SFAへのAPI連携」といった多段階の処理を視覚的なブロックで繋ぐだけで構築できます。これにより、MRの業務プロセス全体を自動化・最適化できます。

これらの機能により、従来の開発手法と比較して、AIアプリ開発のリードタイムを平均で約60%短縮し、導入コストを大幅に削減することが期待されます。

【出典】

営業の効率化を実現する具体的な方法とは?明日から使えるアイデアとステップを紹介

(biz.moneyforward.com)

5. 導入事例:MRの行動変容と具体的な成果

Difyを用いたAIコーチの導入は、MRの業務効率だけでなく、組織全体の営業力向上に直結します。具体的な活用シーンと導入効果は以下の通りです。

  • 提案資料のドラフト生成: 医師からの「特定の疾患に対する最新の研究データ」といった突発的な質問に対し、AIコーチがナレッジベースを参照し、提案書や見積書のドラフトを瞬時に生成。これにより、MRの資料作成作業時間を最大70%削減できたという事例があります。
  • 新人MRの立ち上がり期間短縮: 過去のトップセールスの日報データや成功トークスクリプトをナレッジベースに登録することで、新人MRが日報を入力するたびに、ベテランMRと同等の質の高いフィードバックをAIから受け取ることが可能になります。これにより、新人MRの戦力化までの期間を半減させる効果が期待できます。
  • 属人化の解消: 成功事例や失敗事例がナレッジとして蓄積され、AIを通じてチーム全体に共有されるため、特定のMRにノウハウが属人化するのを防ぎ、チーム全体の営業力の平準化に貢献します。

AIコーチの導入は、日報を「報告」から「学習と改善」のツールに変え、MRがより多くの時間を顧客との対話に充てることを可能にし、結果として顧客満足度と売上の向上に寄与します。

💡 ポイント:データ駆動型の営業戦略

日報データをAIが分析することで、特定のエリアや顧客層における製品の課題がデータとして可視化され、マネージャーは勘や経験に頼らない、データ駆動型の戦略(例:特定のプロモーション資料の強化)を立案できるようになります。

6. AIコーチ導入におけるセキュリティとデータ活用の注意点

MR営業コーチAIを成功させるためには、技術的な側面だけでなく、運用面での注意が必要です。最も重要なのは、AIが提案するプランの実行可否と、社内データのセキュリティです。

また、機密性の高い日報や顧客データを取り扱うため、セキュリティは最優先事項です。Difyは、ユーザー権限管理や操作ログの標準実装により、誰がいつどのようなデータにアクセスし、AIを利用したかを追跡できる環境を提供します。さらに、RAGの基盤となるナレッジベースは、価格改定や最新の治験結果といった情報が日々更新されるため、ナレッジの鮮度を維持する仕組みを日次・週次で回すことが、AIの提案精度を維持するための絶対条件となります。この運用体制の構築が、AIコーチの価値を最大化します。

⚠️ 注意:AIが苦手な領域の明確化

AIコーチはあくまで「最適なプラン」のドラフトを生成するツールであり、MRの人間的な判断や医師との信頼関係構築といった高度な対人スキルは代替できません。AIの提案を鵜呑みにせず、最終的な実行判断はMR自身が行うという「人間の介在ポイント」を明確にすることが、運用を成功させる鍵となります。また、AIが苦手な領域(例:緊急性の高いトラブル対応、感情的な要素を含むフィードバックなど)を定義し、人間の対応領域として切り分けることが重要です。

まとめ

Difyを活用したMR営業コーチAIは、従来の「報告作業」に終始していた営業日報を、データ駆動型の「成長戦略」へと変革させる強力なソリューションです。ノーコードでRAG(検索拡張生成)システムを構築できるDifyの機能は、MRの日報という定性データと、企業の製品マニュアルや成功事例といった機密性の高いナレッジベースを瞬時に連携させ、「次の訪問プラン」を自動で提案することを可能にします。これにより、MRの資料作成時間が最大70%削減され、新人MRの立ち上がり期間が半減するなど、具体的な業務効率化と営業力の平準化を実現します。導入の成功には、AIの提案を最終判断する「人間の介在ポイント」の明確化と、ナレッジベースの鮮度維持が不可欠です。Difyは、製薬業界の営業活動における非効率性を解消し、真のプロフェッショナルな情報提供をサポートする未来のAIプラットフォームと言えるでしょう。

【出典】

【初心者向け】Difyとは?AIアプリ開発を革新する新ツールの基礎知識

(kagoya.jp)

監修者
監修者

株式会社ヘルツレーベン代表 木下 渉

株式会社ヘルツレーベン 代表取締役/医療・製薬・医療機器領域に特化したDXコンサルタント/
横浜市立大学大学院 ヘルスデータサイエンス研究科 修了。
製薬・医療機器企業向けのデータ利活用支援、提案代行、営業戦略支援を中心に、医療従事者向けのデジタルスキル教育にも取り組む。AI・データ活用の専門家として、企業研修、プロジェクトPMO、生成AI導入支援など幅広く活動中。

https://herzleben.co.jp/

Difyでつくる論⽂仕分けアプリ part3: LLM処理‧データ保存編

Difyでつくる論⽂仕分けアプリ                        Part3: LLM処理‧データ保存編

目次

本記事は、Difyのチャットワークフローを使って、PubMed論⽂の検索‧翻訳‧要約を⾃動化するシステムを構築するシリーズのPart 3です。

Part 2の復習: 前回の記事では、E-Fetchで論⽂詳細データを取得し、XMLをパースして構造化データを作るところまで解説しました。具体的には、以下のノードを実装しました。

  1. E-Fetch(XML形式で論⽂詳細データを取得)
  2. XMLパース(PythonでXMLを解析し、構造化データに変換)
ワークフロー

本記事(Part 3)では、取得した論⽂データに対してLLMで翻訳‧要約‧優先度判定を⾏い、CSV形式に整形する処理を詳しく解説します。この部分は、ワークフローの核⼼となるAI処理部分です。

シリーズ構成

  • Part0: 全体像とPubMed API基礎
  • Part 1: 検索・データ取得編
  • Part 2: AI処理・データ整形編
  • Part 3(本記事): LLM処理・データ保存編
  • Part4:  DifyとGAS連携で実現する可能性

Part 2で取得したデータは、以下のような構造になっています。

{ 
  "parsed_result": [ 
  { 
    "pmid": "12345678", 
    "title": "Effect of Insulin Therapy in Type 2 Diabetes",
    "abstract": "[Background] Type 2 diabetes...", 
    "author": ["John Smith", "Jane Doe"], 
    "journal": "Diabetes Research", 
    "year": "2024", 
    "doi": "10.1234/example", 
    "keywords": ["diabetes", "insulin", "therapy"] 
  } 
  ]
}

事では、E-Fetchで取得した論⽂データして、以下のを⾏います

  1. イテレーションで各論⽂を一つずつ処理
  2. LLMで各論⽂のタイトル翻訳・要約・優先度判定・研究領域抽出・対象抽出
  3. 元データとAI分析結果をマージしてCSV⽣成
イテレーション(Iteration)

パースされた論⽂データの配列をループ処理し、各論⽂に対してLLMによる翻訳‧要約‧優先度判定を⾏うノードです。

DifyのIterationノードは、リストの要素に対して同じ処理を繰り返すために使います。

たとえば、URLリストや論⽂リスト(論⽂1,論⽂2,論⽂3…)の⼀つ⼀つに同じAI処理を適⽤したいときに便利です。このノードは、プログラミングのfor⽂のように、リストのすべての項⽬を順に処理し、結果をまとめて出⼒します。

項⽬設定値
入力変数{{parsed_result}}
出力変数{{text}} (後で説明するLLMノードを先に配置すると選択できるようになります)
エラーハンドリングエラー時は終了
出力をフラット化true
  1. ⼊⼒: XMLパースノードから parsed_result (論⽂データの配列)を受け取る
  2. ループ: 各論⽂データを1件ずつ処理
  3. 出⼒: LLMの出⼒を配列として集約
LLM(イテレーション内側のノードです)

各論⽂に対して、タイトルの⽇本語翻訳、アブストラクトの要約、優先度判定を⾏うLLMノードです。イテレーション内に配置されており、各論⽂ごとに個別に処理されます。
イテレーションの中で、LLMノードを配置することで、実行するたびに各論文データに対して、一つずつLLMが実行されます。

あなたは医学論文の分析と翻訳を行う専門AIアシスタントです。
ユーザーから提供された「論文リスト」と「検索意図(質問)」に基づき、各論文の情報を日本語で構造化して抽出してください。

### ユーザーの検索意図(質問)
{{#sys.query#}}

### タスク
提供された論文について、以下の処理を行ってください。

Title Translation
論文タイトルを自然で簡潔な日本語に翻訳してください。

Summarization
アブストラクトの内容を100文字以上200文字以内の日本語で要約してください。
「目的」「方法」「結果」「結論」の流れを意識して記述してください。
ユーザーの質問に対する「答え」や示唆が含まれているかに注意してください。

Priority Assessment
ユーザーの質問に対するその論文の重要度を3段階で判定してください。
HIGH: 質問の意図と高いレベルで一致し、かつRCT、メタアナリシス、システマティックレビューなど高いエビデンスレベル、または重要な新知見を含む。
MID: 質問と関連はあるが一部が周辺的、または観察研究・症例報告などエビデンスレベルが限定的。
LOW: 質問の意図と大きく異なる、対象が全く異なる(例:動物実験のみ)、または臨床的意義が小さい。

Research Area(研究領域)の抽出
論文のタイトル・アブストラクト・MeSH用語などから、主要な疾患領域・診療科・トピックを1〜3個程度、日本語で要約してください。
例:Oncology, Cardiovascular, Endocrinology, Psychiatry, Neurology, Infectious disease などを、日本語で「腫瘍学」「循環器」「内分泌」「精神科」「神経内科」「感染症」などと表現する。できるだけ専門領域名として通用する粒度で簡潔に記述してください。

Population(対象)の抽出
研究の対象となっている集団を日本語で要約してください。
年齢層(成人/高齢者/小児/新生児 など)
患者群(例:2型糖尿病患者、心不全患者、健常成人 など)
動物実験・細胞実験のみの場合はその旨を明記してください(例:「マウスモデル」「培養細胞」など)。

### 入力データ(論文リスト)
{{#item#}}
  1. 検索意図の活⽤ {{#sys.query#}}  でユーザーの検索クエリを参照し、要約や優先度判定の基準として使⽤
  2. 構造化さタスク:  5つの明確なタスク(翻訳、要約、優先度判定、研究領域抽出、対象抽出)を定義
  3. 優先判定の基準:   HIGH/MID/LOWの判定基準を明確に定義し、⼀貫性のある判定を実現
  4. 究領域と象の抽:  論⽂の分類と検索に役⽴つ追加情報を抽出

LLMの出⼒を構造化するため「構造化出⼒」機能を使⽤しています。
※構造化出力はAIのモデルによってサポートされていない場合があります。うまくいかない場合はバージョンを変えて試してみてください(gpt-4o-miniでは動作確認済み)。

フィールド名説明
title_jpstring論⽂の⽇本語タイトル
summarystring要約(100〜200⽂字程度)
prioritystring重要度(HIGH, MID, LOW)
research_areaarray[string]研究領域(1〜3個程度、⽇本語)
populationstring対象(年齢層‧患者群‧実験モデルなど)

LLMによってこれらのラベルが自動的に付与されます。

各論⽂に対して以下のJSON形式で出⼒されます。

{ 
  "title_jp": "糖尿病におけるインスリン療法の効果", 
  "summary": "本研究は、2型糖尿病患者におけるインスリン療法の有効性を検証した。無作為化比較試験により、インスリン療法群では血糖コントロールが有意に改善し、HbA1cが平均1.2%低下した。結論として、インスリン療法は2型糖尿病の効果的な治療選択肢であることが示された。", 
  "priority": "HIGH", 
  "research_area": ["内分泌", "糖尿病"], 
  "population": "2型糖尿病患者(成人)"
}
DB登録⽤データの作成(Codeノード)

元の論⽂データ(XMLパース結果)とAI分析結果(LLM出⼒)をマージし、CSV形式に変換するノードです。

先ほど作成したLLMによる追加データとPubMed APIから取得したデータを統合して、一つの行データとして扱えるようにします。

変数名ソース
original_listXMLパースノードarray[object]
ai_results_listイテレーションノードarray[string]
カラム名説明データソース
PMIDPubMed ID元データ
Priority重要度AI分析結果
Title_JP⽇本語タイトルAI分析結果
Summary要約AI分析結果
Title_EN英語タイトル元データ
Authors著者リスト元データ
Journal雑誌名元データ
Year公開年元データ
DOIDOI元データ
MeSH_KeywordsMeSH⽤語とキーワード元データ
URLPubMed URL⽣成( https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/{pmid}/
main_author_affiliation第⼀著者の所属機関元データ
research_area研究領域AI分析結果
publication_types論⽂タイプ元データ
population対象AI分析結果

以下はコピペでコードノードに貼り付けるだけで大丈夫です。
コードが動かない時には、「入力変数」「出力変数」の名前やデータ型が正しいかを確認してください。

import json

def main(original_list: list, ai_results_list: list): 
  headers = [ 
    "PMID", 
    "Priority", 
    "Title_JP", 
    "Summary", 
    "Title_EN", 
    "Authors", 
    "Journal", 
    "Year", 
    "DOI", 
    "MeSH_Keywords", 
    "URL", 
    "main_author_affiliation", 
    "research_area", 
    "publication_types", 
    "population" 
  ] 

  csv_rows = [",".join(['"' + h + '"' for h in headers])] 

  for i, original in enumerate(original_list): 
    ai_item = ai_results_list[i] if i < len(ai_results_list) else "{}"

    ai_data = {} 
    try: 
      if isinstance(ai_item, dict): 
        ai_data = ai_item 
      else: 
        clean_json = str(ai_item).replace('```json', '').replace('```', '').strip() 
        ai_data = json.loads(clean_json) 
    except: 
      ai_data = {} 

    row_data = {} 

    pmid = original.get('pmid', '') 
    row_data["PMID"] = pmid 
    row_data["Title_EN"] = original.get('title', '') 
    auths = original.get('authors', original.get('author', [])) 
    row_data["Authors"] = ", ".join(auths) if isinstance(auths, list) else str(auths) 
    row_data["Journal"] = original.get('journal', '')
    row_data["Year"] = original.get('year', '') 
    row_data["DOI"] = original.get('doi', '') 
    row_data["main_author_affiliation"] = original.get('main_author_affiliation','') 
    row_data["publication_types"] = original.get('publication_types','')[0].replace('[','').replace(']','') if original.get('publication_types') else '' 

    kws = original.get('MeSH_Keywords', original.get('keyword', [])) 
    row_data["MeSH_Keywords"] = ", ".join(kws) if isinstance(kws, list) else str(kws) 

    if pmid: 
      row_data["URL"] = f"<https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/{pmid}/>" 
    else: 
      row_data["URL"] = "" 

    # LLM generated columns 
    row_data["Title_JP"] = ai_data.get('title_jp', '') 
    row_data["Summary"] = ai_data.get('summary', '') 
    row_data["Priority"] = ai_data.get('priority','') 
    research_area_list = ai_data.get('research_area', []) 
    if research_area_list and len(research_area_list) > 0: 
      row_data["research_area"] = research_area_list[0].replace('[','').replace(']','') if isinstance(research_area_list[0], str) else str(research_area_list[0]) 
    else: 
      row_data["research_area"] = '' 
    row_data["population"] = ai_data.get('population','')

    csv_row = [] 
    for col in headers: 
      val = row_data.get(col, "") 
      val_escaped = str(val).replace('"', '""') 
      csv_row.append(f'"{val_escaped}"') 

    csv_rows.append(",".join(csv_row)) 

  final_csv = "\\n".join(csv_rows) 

  return { 
    "csv_string": final_csv
  }
  1. ヘッダー⾏:  CSVのヘッダー⾏を作成
  2. ループ処: 元データとAI分析結果を1件ずつ処理
  3. AI析結果のパース: LLMの出⼒をJSONとして解析(エラーハンドリング付き)
  4. データマージ: 元データとAI分析結果を統合
  5. CSV: 各フィールドをエスケープ処理してCSV形式に変換
  6. URL: PMIDからPubMedのURLを⾃動⽣成

CSV形式では、フィールド内にカンマやダブルクォートが含まれる場合、適切にエスケープする必要があります。このコードでは、ダブルクォートを “” に変換することで、正しいCSV形式を保証しています。

出⼒名説明
csv_stringstringCSV形式の⽂字列

以下のように出⼒することで、SpreadsheetやExcelで扱いやすいcsvの形式にしています。これによってSpreadsheetやExcelに連携する時のデータ変換処理が容易になります。

"PMID","Priority","Title_JP","Summary","Title_EN","Authors","Journal","Year","DOI","MeSH_Keywords","URL","main_author_affiliation","research_area","publication_types","population""12345678","HIGH","糖尿病におけるインスリン療法の効果","本研究は、2型糖尿病患者におけるインスリン療法の有効性を検証した。...","Effect of Insulin Therapy in Type 2 Diabetes","John Smith, Jane Doe","Diabetes Research","2024","10.1234/example","diabetes, insulin, therapy","<https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12345678/","University> of Tokyo","内分泌","Randomized Controlled Trial","2型糖尿病患者(成人)"

本記事では、取得した論⽂データに対してLLMで翻訳‧要約‧優先度判定を⾏い、CSV形式に整形する処理を詳しく解説しました。

  • イテレーションによる論⽂データのループ処理
  • LLMによる各論⽂の翻訳‧要約‧優先度判定
  • 元データとAI分析結果のマージ
  • CSV形式への変換(エスケープ処理付き)
  1. イテレーション: 論⽂データをループ処理
  2. LLM: 各論⽂に対して翻訳‧要約‧優先度判定‧研究領域抽出‧対象抽出
  3. DB録⽤データの作成: 元データとAI分析結果をマージしてCSV⽣成
次のステップ

次回のPart 4では、⽣成したCSVデータをGoogle Apps Script(GAS)へ送信してスプレッドシートに保存する処理と、GAS連携で実現できる応⽤例を解説します。具体的には以下のテーマを扱います。

  • CSV統合⽤の変数集約器
  • GAS WebhookへのPOST送信
  • レスポンスからスプレッドシートURLを取得するコード
  • Dify × GAS連携の応⽤(通知、定期実⾏、他システムとの統合 等)

これらの処理により、ワークフローが完成し、ユーザーはスプレッドシートのURLを受け取って、保存された論⽂データを確認できるようになります。


シリーズ記事

  • Part0: 全体像とPubMed API基礎
  • Part 1: 検索・データ取得編
  • Part 2: AI処理・データ整形編
  • Part 3: LLM処理・データ保存編
  • Part4(次回記事): DifyとGAS連携で実現する可能性
check

ヘルツレーベンでは、ライフサイエンス業界に特化したDX・自動化支援を提供しています。
PubMedや学術情報の自動収集をはじめ、Slack・Gmailなどを活用したナレッジ共有の仕組みまで、実務に直結するワークフローを設計・導入いたします。

提供サービスの例

  • 製薬・医療機器業界での提案活動や調査業務の自動化支援
  • アカデミアや研究者向けの文献レビュー・情報共有フローの最適化
  • 医療従事者のキャリア開発を支援するリスキリングプログラム

👉 ご興味をお持ちの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせフォームはこちら

株式会社ヘルツレーベン代表 木下 渉

監修者 株式会社ヘルツレーベン代表 木下 渉

株式会社ヘルツレーベン 代表取締役/医療・製薬・医療機器領域に特化したDXコンサルタント/
横浜市立大学大学院 ヘルスデータサイエンス研究科 修了

製薬・医療機器企業向けのデータ利活用支援、提案代行、営業戦略支援を中心に、医療従事者向けのデジタルスキル教育にも取り組む。AI・データ活用の専門家として、企業研修、プロジェクトPMO、生成AI導入支援など幅広く活動中

Load More

Privacy Policy